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ゲスト卓話

「人形劇のまち飯田」とは~いいだ人形劇フェスタを通して~  

  NPO法人飯田人形劇センター 事務局長 木田 敬貴氏

 

  日本最大の人形劇の祭典、いいだ人形劇フェスタは1979年の国際児童年に人形劇カーニバル飯田として始まり、今年で41回を迎えました。毎年、全国そして海外から多くの人形劇人や観客が飯田にやってきます。365日人形劇のまちをめざして2013年に設立されたいいだ人形劇センターでは長年培われてきたこれらの経験が様々な事業に活かされています。

 

 例えば「せかいの劇場」では、これまでにフランス、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、オランダなど、フェスタ以外に海外の良質な作品を招聘しています。また市民とつくるプロデュース公演は第一弾の『人魚姫』、『巨大人形劇「さんしょううお」』に続いて、今年度は新作『ゆきをんな』を初めて外部の専門家に頼らずに制作しました。今田人形座の伝統の三人遣いと現代の台詞・音楽・照明の融合に挑戦しました。

 

 人形劇には世代を超えて多くの楽しみ方があります。なかでも「想像力を喚起させる」表現は大きな特長と言えます。変わらないはずの人形の表情がある瞬間に笑ったり、赤くなったように見えるのは人間の想像力に委ねているからです。アニメーションとは異なり、視覚化されていないのにそう感じさせるところに魅力を感じます。デジタルに溢れた現代社会に置き去りにされつつある想像力、見えないものを感じる力を養う有効な手段のひとつでもあります。飯田市がより心豊かなまちになれるように今後も人形劇を通して取り組んでまいりたいと思います。